統計学基礎
どの確率分布を使うか。
読者の問い
問題の文脈から、どの確率分布の性質や数表を適用すべきか?
離散確率分布:二項分布とポアソン分布
カウントデータ(整数値をとるもの)を扱う代表的な離散確率分布です。
・二項分布:成功確率 p の試行を独立に N 回行ったときに、イベントがちょうど k 回起こる確率の分布です(例:購入率 10% の店に 5 人来店し、ちょうど 2 人が購入する確率)。期待値は Np、分散は Np(1-p) となります。
・ポアソン分布:めったに起こらない稀なイベントが、一定の時間や空間で平均 λ 回発生するときの発生回数 k の分布です(例:1時間あたりのコールセンターへの入電数、製品の傷の数)。期待値も分散も λ となる非常にユニークな性質を持ちます。
連続確率分布:正規分布とt分布
身長や体重などの連続値を扱い、統計的推測の主軸となる連続確率分布です。
・正規分布:平均 μ、分散 σ² を持ち、左右対称の美しい山型の分布です。母分散が既知の場合や、中心極限定理によってサンプルサイズが十分大きい場合の標本平均の分布に適用されます。
・t分布:母分散が未知のとき、標本から得た不偏分散を用いて母平均の推定や検定を行う際に用います。正規分布に比べて裾野が広く、サンプルサイズが小さく不確定要素が大きい場合に、臨界値(境界値)を厳しめに設定する役割を持っています。
平方和と比の分布:カイ二乗分布とF分布
分散や比率に関する検定で威力を発揮する分布です。
・カイ二乗分布:正規分布に従う独立な確率変数の「平方和(2乗の和)」が従う分布です。母分散の検定や、カイ二乗検定(適合度・独立性の検定)で用いられます。値は常に正になります。
・F分布:2つの独立なカイ二乗分布をそれぞれの自由度で割った「比」の分布です。2つの母分散の比を検定するF検定や、一元配置分散分析(ANOVA)におけるグループ間の差の検定に用いられます。
よくある誤りとその理由
誤り:データのばらつき(母分散)が未知の小標本であるにもかかわらず、正規分布を一律に適用してしまうこと。
理由:母分散が未知の場合、標準偏差の代わりに標本から計算した不偏標準偏差を使用するため、統計量は正規分布ではなくt分布に従います。特に標本サイズが小さい場合、t分布は正規分布よりも裾野が広く平たいため、正規分布の臨界値(例:両側5%で1.96)を適用すると、本来より信頼区間が狭くなりすぎたり、有意でないものを有意と判定してしまう数学的誤りが発生します。
参照資料
関連する学習機能
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