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統計学基礎

回帰係数・残差・決定係数をどう読むか。

作成者: kuma / bearworks.uk公開日: 2026-07-11内容更新日: 2026-10-03

読者の問い

回帰分析のアウトプットから、変数の関係性や予測精度をどう評価すればよいか?

架空データによる単回帰分析の計算例

単回帰モデルの理解を深めるため、「1日の学習時間(X:時間)」と「テストの得点(Y:点)」に関する5人分の架空データで回帰方程式を手計算する流れを示します。

【5人のデータ点 (X, Y)】 ・Aさん (1, 40) ・Bさん (2, 50) ・Cさん (3, 70) ・Dさん (4, 70) ・Eさん (5, 90)

まず平均値を計算します。 ・Xの平均: (1 + 2 + 3 + 4 + 5) / 5 = 3 時間 ・Yの平均: (40 + 50 + 70 + 70 + 90) / 5 = 64 点

回帰式の傾き(回帰係数 β)を計算するため、Xの偏差平方和(分母)と、XとYの共分散の分子にあたる偏差の積の和(分子)を求めます。

・Xの偏差平方和: (1-3)² + (2-3)² + (3-3)² + (4-3)² + (5-3)² = 4 + 1 + 0 + 1 + 4 = 10

・XとYの偏差の積の和: (1-3)(40-64) + (2-3)(50-64) + (3-3)(70-64) + (4-3)(70-64) + (5-3)(90-64) = (-2)(-24) + (-1)(-14) + 0 + (1)(6) + (2)(26) = 48 + 14 + 0 + 6 + 52 = 120

・傾き(回帰係数 β): 120 / 10 = 12

・切片 α: Yの平均 - β × Xの平均 = 64 - 12 × 3 = 28

よって、推定された単回帰方程式は「Yの予測値 = 12 × X + 28」となります。

残差と決定係数(R²)の計算

回帰式の予測値と、手元の5人分の得点との差を計算します。

【予測値と残差 (e = 実績値 - 予測値)】 ・Aさん:予測値40点、実績値40点 → 残差0点 ・Bさん:予測値52点、実績値50点 → 残差−2点 ・Cさん:予測値64点、実績値70点 → 残差+6点 ・Dさん:予測値76点、実績値70点 → 残差−6点 ・Eさん:予測値88点、実績値90点 → 残差+2点

切片を含む最小二乗回帰なので残差の和は0です。残差平方和は0²+2²+6²+6²+2²=80、Yの全平方和は1520です。したがってR²=1−80/1520=18/19≈0.9474です。これは、この架空の5点の得点の変動に対する当てはまりを表します。5点だけで新しい人への予測精度や学習時間の因果効果は評価できません。

回帰係数と相関係数の符号の数学的一致

XとYにともにばらつきがある単回帰では、回帰係数と相関係数の符号は一致します。回帰係数の分子はXとYの共分散(偏差の積の和)で、分母はXの偏差平方和(この条件では正)だからです。相関係数も同じ共分散を分子に使います。XまたはYが一定なら係数や相関係数を通常どおり定義できないため、この関係を機械的に当てはめません。

よくある誤りとその理由

誤り:高い決定係数(R²)をもって、二変数間に直接的な因果効果がある、あるいはモデルが未知のデータに対して常に正確に予測できると確信すること。

理由:決定係数はあくまで「手元にあるデータの変動を回帰式がどれだけ説明できているか」という適合度を示すだけであり、Xが原因でYが結果であるという因果関係を証明するものではありません。第三の共通の要因による見せかけの相関(疑似相関)でもR²は高くなります。また、手元のデータに合わせすぎて過学習(オーバーフィッティング)を起こしている場合、新しいデータに対する予測精度は著しく低下します。

参照資料

関連する学習機能

本ガイドに関連する統計検定2級の演習・復習アプリ機能です。実際に手を動かして理解を深めましょう。

関連するオリジナル例題

本ガイドの理解を深めるための、解説・途中計算付きの練習問題です。

制作・検証情報

執筆・構成
kuma / bearworks.uk
検算・内容確認
初版:kuma / bearworks.uk。2026-10-03改訂:Codex(統計的な説明・数値例・参照資料を点検)、Luna(読み取り専用の一次監査)
最終公開確認
kuma / bearworks.uk(2026-10-03に改訂内容を確認し、公開原稿として承認)

AIを使用した工程

初版の構成案や実装補助にAIを使用しました。2026-10-03改訂の監査と文章修正にAI(Codex、Luna)を使用しました。

人が確認した工程

初版は運営者が公開を判断しました。2026-10-03に運営者が8ガイドの改訂内容を確認し、公開原稿として承認しました。専門家による第三者査読ではありません。

更新・訂正履歴

  • 初版8本の統計学習ガイドを公開し、数値例と参照情報を確認しました。
  • 訂正8本の説明を点検し、p値・信頼区間・検定の前提・標本抽出・多重比較などの表現を訂正。運営者が公開原稿として確認しました。

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