指数分布(ポアソン過程における事象発生間隔と無記憶性)
問題文
あるコールセンターでは、顧客からの電話着信が平均して1時間あたり λ = 6.0 回のポアソン過程に従ってランダムに発生している。次の着信があるまでの待ち時間を X(単位:時間)とする。 (1) 次の電話着信があるまでの平均待ち時間(期待値、単位:分)を求めなさい。 (2) ある通話が終了してから、次の着信があるまでに15分(0.25時間)以上待たされる確率 P(X ≥ 0.25) を求めなさい。ただし、e^(-1.5) ≒ 0.2231 とする。 (3) すでに10分間着信を待っているとき、そこからさらに15分以上待たされる条件付き確率を求め、指数分布の「無記憶性」について簡潔に説明しなさい。
与えられた条件
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 単位時間あたりの平均発生率 (λ) | 6.0 回/時間 |
| 評価対象の待ち時間 (t) | 15分(0.25時間) |
| 指数値 e^(-1.5) | 0.2231 |
解答・途中計算
平均待ち時間(期待値)の算出
パラメータ λ の指数分布の期待値は E(X) = 1/λ です。1時間に6回発生するため、平均発生間隔は 1/6 時間、すなわち 60 / 6 = 10.0 分となります。
15分以上待たされる確率 P(X ≥ 0.25) の算出
指数分布の生存関数(累積分布の右裾確率)は P(X ≥ t) = e^(-λ t) です。15分(0.25時間)以上発生しない確率は e^(-1.5) ≒ 0.2231(約22.3%)となります。
無記憶性(Memoryless Property)の確認と解釈
すでに s = 10分待ったという条件の下でさらに t = 15分以上待つ条件付き確率は、初めから15分以上待つ確率 e^(-1.5) ≒ 0.2231 と完全に一致します。過去にどれだけ待ったかという履歴は将来の待ち時間分布に一切影響を与えません。この性質を「無記憶性」と呼びます。
最終結論
(1) 平均待ち時間は 10.0分、(2) 15分以上待たされる確率は 約0.2231(約22.3%)、(3) すでに10分待った後にさらに15分待つ確率は 同様に約0.2231(約22.3%)である(過去の経過時間は将来の発生確率に影響しない無記憶性が成立する)。
誤答しやすい考え方
典型的な誤り:平均待ち時間: 6.0分, P(X ≥ 0.25) = 0.2231
理由・解説:パラメータ λ = 6.0 をそのまま平均待ち時間(6分)と誤認する誤りです。平均発生間隔は逆数 1/λ = 1/6 時間 = 10分です。
典型的な誤り:P(X ≥ 0.25) = 0.7769
理由・解説:累積分布関数 F(t) = P(X ≤ 0.25) = 1 - e^(-1.5) ≒ 0.7769(15分以内に着信がある確率)を計算してしまう誤りです。15分以上待つ確率はその補事象 e^(-1.5) ≒ 0.2231 です。
典型的な誤り:条件付き確率: 0.2231 より小さくなる(待った分だけすぐ来るはずという解釈)
理由・解説:ポアソン過程における無記憶性を理解せず、日常的な感覚(そろそろ電話が来るはず)に引きずられる誤謬です。機械の摩耗がない偶発故障やランダム着信では待ち時間はリセットされ続けます。
参照資料
この概念をアプリで練習する
統計検定2級の演習・復習アプリ機能です。実際に手を動かして理解を深めましょう。
本サイトの例題はすべて架空のデータを元に独自に作成されたものです。出題意図や難易度調整の基準については問題作成方針をご確認ください。
問題作成方針を見る制作・検証情報
- 執筆・構成
- kuma / bearworks.uk(問題設計・テーマ指定)
- 検算・内容確認
- Antigravity(問題作成・独立検算・実装確認)、Codex(学術レビュー・実装監査【合格】)
- 最終公開確認
- kuma / bearworks.uk
AIを使用した工程
第5バッチ(問26〜30)は公式参考書・問題集の未出題重要論点(2つの母比率の差の検定、指数分布、時系列分析、二元配置分散分析、重回帰診断とダミー変数)に基づき、Antigravityが問題・与件・解説・誤答分析を独自に設計・作成し、PythonとSciPyで独立検算しました。Codexが統計学・表記・出典の整合性を読み取り専用で監査・レビューし、指摘事項の反映を確認しました。
人が確認した工程
運営者が公式テキスト・問題集に基づく未出題5問の構成案を承認し、独立検算・Codexレビュー【合格】・Linux CI合格を踏まえて、最終公開内容を承認しました。専門家による第三者査読ではありません。
更新・訂正履歴
- 初版第5バッチ5問をAntigravityが独自設計・実装・SciPy検算し、Codex監査レビュー【合格】を経て運営者が公開内容を承認しました。
内容の誤りや再検証のご連絡は、お問い合わせページから受け付けています。
誤りを報告する