街のうわさを、統計でほどく · 07
雨が多い街。
それは、日数? 量?
八王子は都心より雨が多い?
帰り道だけ、雨に降られた。そんな記憶から街の天気を想像していませんか。八王子と東京都心の日別観測を、「どのくらい降るか」「何日降るか」「一部の日に集中するか」に分けて読みます。
気象庁の地点観測 · 2015〜2025年のうち共通8年 · 2026年10月4日作成
まず、今回のデータから
8年平均では、八王子のほうが少ない。
主集計の年間降水量は八王子1,446.0mm、東京都心1,581.6mm。日降水量1mm以上の日数も、八王子が少ない結果でした。一方、上位5日に集まる雨量の割合は八王子のほうが大きくなっています。
年間降水量の差
−135.6mm
八王子 − 東京都心 · 年平均
降水日数の差
−2.8日
日降水量1mm以上 · 年平均
八王子の上位5日への集中
30.1%
各年の「上位5日 ÷ 年間雨量」を平均
採用年は2015・2016・2017・2018・2021・2022・2023・2025年。2019・2020・2024年は両地点の全日が正常値でそろわず除外しました。11年全体の平均でも、30年の平年値でもありません。「東京都心」は気象庁の東京観測所を指します。
同じ「多い」でも、三つの数字がある。
降水量は、雨や雪を水の深さに換算した量です。ここでは雪も含めた観測値を使います。「降水日」は日降水量1mm以上の日と決めました。少しでも雨を見た日、傘を使った日とは一致しません。
| 指標 | 八王子 | 東京都心 |
|---|---|---|
| 年間の降水量(mm) | 1,446.0 | 1,581.6 |
| 1mm以上の日数(日) | 99.3 | 102.0 |
| 降水日1日あたりの量(mm) | 14.6 | 15.4 |
平均の下に、違う降り方の年がある。
八王子の年間降水量が東京都心を上回ったのは、採用した8年中2年でした。図のボタンで日数と集中度にも切り替えられます。平均だけで街の順位を固定せず、年ごとの関係を確かめてください。
この図の数値表
| 年 | 八王子 | 東京都心 |
|---|---|---|
| 2015 | 1,740.0 | 1,781.5 |
| 2016 | 1,487.0 | 1,779.0 |
| 2017 | 1,514.5 | 1,430.0 |
| 2018 | 1,436.0 | 1,445.5 |
| 2019 | 対象外 | 対象外 |
| 2020 | 対象外 | 対象外 |
| 2021 | 1,448.5 | 2,052.5 |
| 2022 | 1,473.5 | 1,615.5 |
| 2023 | 1,249.5 | 1,396.5 |
| 2024 | 対象外 | 対象外 |
| 2025 | 1,219.0 | 1,152.5 |
各年の多雨上位5日が年間雨量に占める割合は、八王子で平均30.1%、東京都心で25.1%。八王子では、年間合計の約3割が5日分に集まっています。
各年の八王子の多雨上位5日を見る
2015年 · 年間の31.4%
- 2015-07-16200.5mm
- 2015-09-09131.5mm
- 2015-07-0376.0mm
- 2015-09-0874.5mm
- 2015-12-1164.0mm
2016年 · 年間の29.2%
- 2016-08-22175.5mm
- 2016-08-2075.5mm
- 2016-09-2074.0mm
- 2016-06-1356.0mm
- 2016-01-1852.5mm
2017年 · 年間の35.8%
- 2017-10-22175.0mm
- 2017-10-23152.5mm
- 2017-10-2980.0mm
- 2017-08-1974.5mm
- 2017-06-2159.5mm
2018年 · 年間の25.6%
- 2018-09-3087.0mm
- 2018-07-2882.5mm
- 2018-03-0878.0mm
- 2018-09-2562.5mm
- 2018-08-0657.0mm
2021年 · 年間の21.6%
- 2021-08-1580.0mm
- 2021-07-0263.5mm
- 2021-11-0959.0mm
- 2021-07-0158.0mm
- 2021-10-0153.0mm
2022年 · 年間の27.5%
- 2022-09-18119.5mm
- 2022-08-1383.5mm
- 2022-06-0677.0mm
- 2022-05-2764.5mm
- 2022-09-2361.0mm
2023年 · 年間の35.5%
- 2023-06-02174.5mm
- 2023-09-2278.5mm
- 2023-09-0872.5mm
- 2023-06-0371.0mm
- 2023-11-1747.5mm
2025年 · 年間の34.2%
- 2025-09-05131.0mm
- 2025-05-02107.5mm
- 2025-07-1585.5mm
- 2025-10-3153.5mm
- 2025-09-1939.5mm
梅雨だけが、雨の季節ではない。
今回の8年平均では、両地点とも9月の降水量が最も大きくなっています。八王子と都心の大小関係も月によって異なります。月の平均は季節を見渡す目安で、毎年同じ月に同じ量が降るという意味ではありません。
月別の数値を表で見る
| 月 | 八王子 | 東京都心 |
|---|---|---|
| 1月 | 39.4 | 44.9 |
| 2月 | 32.1 | 45.1 |
| 3月 | 115.2 | 135.5 |
| 4月 | 105.6 | 138.1 |
| 5月 | 116.8 | 137.8 |
| 6月 | 138.1 | 163.9 |
| 7月 | 175.0 | 143.9 |
| 8月 | 190.0 | 179.3 |
| 9月 | 269.9 | 291.3 |
| 10月 | 153.8 | 164.7 |
| 11月 | 64.6 | 80.3 |
| 12月 | 45.6 | 56.8 |
都心で降った日に、八王子でも降っている?
主集計の2,921日を、両地点で1mm以上だったかどうかで分類しました。同じ日に降ったという分類であり、同じ時刻に降ったという観測ではありません。
| 都心:あり | 都心:なし | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 八王子:あり | 665 | 129 | 794 |
| 八王子:なし | 151 | 1,976 | 2,127 |
| 合計 | 816 | 2,105 | 2,921 |
都心で降った日を分母に
665 ÷ 816 = 81.5%
そのうち八王子でも降った割合
八王子で降った日を分母に
665 ÷ 794 = 83.8%
そのうち都心でも降った割合
数え方を変えても、同じ結論だろうか。
降水日の区切りを0.5・1・5・10mmに変えても、今回の8年平均では八王子の日数が東京都心を下回りました。これは選んだ条件の範囲での確認です。
| 日降水量 | 八王子 | 東京都心 |
|---|---|---|
| 0.5mm以上 | 114.9 | 117.0 |
| 1mm以上 | 99.3 | 102.0 |
| 5mm以上 | 60.8 | 65.3 |
| 10mm以上 | 40.8 | 44.5 |
品質条件を緩めた場合も併記する
一部の観測が欠けた「準正常値」(品質5)も採用すると、2019・2020年が加わり10年になります。年間降水量は八王子1,513.9mm、都心1,611.7mm、降水日数は101.1日と103.5日。大小関係は同じですが、差の大きさは変わります。2024年はこの条件でも除外します。
年を丸ごと除外するため、大雨が多かった年や少なかった年が抜ける影響は残ります。欠測を補って11年全体を推定した分析ではありません。
グラフの読み方を、5問で確かめる。
Q1年間降水量が多い街では、雨の日も必ず多い?
必ずしもそうではありません。少数の日に大量の雨が降れば、降水日数が少なくても合計は大きくなります。降水量と、あらかじめ定義した降水日数を別々に比較します。
Q2この8年の平均は、2015〜2025年の11年平均?
違います。主集計は2019・2020・2024年を除いた8年です。欠測を0として11年で割った値でもありません。除外した年の天候が平均に影響し得るため、品質条件を変えた集計も併せて示しています。
Q3上位5日が全体の約30%。残りの日には降らなかった?
違います。これは日数の割合ではなく降水量の割合です。残りの日にも年間雨量の約70%が分散しています。大きな値だからという理由だけで、実際の大雨を誤測定として除外することもできません。
Q4都心で降った日に八王子でも降った割合。分母は全観測日?
分母は東京都心で1mm以上だった816日です。両地点で降った665日をこれで割ると81.5%。全2,921日で割れば「両地点で降った日の全体割合」という別の値になります。
Q5過去の同日割合を、そのまま明日の降水確率にできる?
できません。ここでは観測後の日別値を集計しています。明日の予報にはその時点の気象状況などが必要です。また、1日の中で同じ時刻に降ったか、同じ雨雲だったかは日別の合計だけでは分かりません。
方法・再現性・出典
原本は2026年10月4日に気象庁「過去の気象データ・ダウンロード」から取得。八王子・東京の2009〜2025年、各6,209日の日付被覆と重複のないことを確認しました。本記事は2015〜2025年を候補とし、両地点の降水量が全日正常値の共通8年を採用しています。候補期間内の降水量の均質番号は各地点で一定でした。
2019年は1月22日、2020年は2月26日、2024年は12月21〜23日に、八王子の降水量が主集計の品質条件を満たしません。欠測や資料不足を0mmとして埋めていません。年平均は採用年を等しい重みで計算し、割合もまず年ごとに求めてから平均しています。同日対応表のみ全採用日をまとめた集計です。
観測所間の比較であり、市内全域・東京23区全体の平均ではありません。雨量の地域差の原因、長期トレンド、将来の予報、災害リスクは推定していません。表示値は最後に丸めるため、表示した値同士を引いた結果と差の表示がずれる場合があります。
原本をダウンロード・検証情報を見る
原本は気象庁から取得したままのCSV(Shift_JIS)です。気温・降水量の値と品質情報・均質番号を保持しています。データ版:2026-10-04.r1。
この記事の固定集計データのSHA-256:5136363911376bdb8e43ab476a20dba84acc0fa60cbd806e20614fdee26f12ec
制作・検証情報
- 執筆・構成
- kuma / bearworks.uk(企画)・Codex(構成・原稿作成補助)
- 検算・内容確認
- Codex(原本保存・集計・独立検算・公式画面との照合)、Luna(制作設計と内容の一次点検)
- 最終公開確認
- kuma / bearworks.uk(2026-10-04 原稿承認)
AIを使用した工程
2026-10-04の制作で、Codexが公開観測の取得・解析、図表と原稿の作成、検証を支援しました。Lunaが読み取り専用の調査・点検を担当しました。観測値をAIで生成・補完していません。
人が確認した工程
運営者がテーマ・制作方針と完成稿を承認しました。専門家による第三者査読ではありません。
コード・データ・検証記録
更新・訂正履歴
- 初版第7弾・降水量と降水日数の比較の原稿・固定集計・図表・確認問題を作成。運営者が原稿を承認しました。
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